さやかの話しかしない夫に、私は冷めていった
2月に入っても、相も変わらず夫は毎日のように“さやか”の話をしてきた。
夫の話題には毎日のように“さやか”というバイトの女子大生の名前が出てくる。
はじめのうちは「そうなんだ〜」「楽しそうだね」って、私もちゃんと聞いていた。
でも、さやかの話ばかりが続くにつれて、だんだんうんざりしてきて――
返事も「へぇ…」「あー、そう」みたいな、上の空になっていった。
さやかと出かけて以降、夫からの連絡も頻繁になっていた。
だけど、夫婦関係が崩れたわけじゃない。
私たちは今までと変わらず笑い合ってたし、私はちょっと子どもっぽいところのある夫が大好きだった。
ただ――心の奥で何かがすり減っていたのは確かだった。
休みの7回はさやか、1回だけが家族時間
2月の終わり。
ふとカレンダーを見て私は気づいた。
夫にはこの月、8回の休みがあった。
そのうち1回だけが家族との時間で、残りの7回はすべて“さやか”と過ごしていた。
なんでそこまで?
心の中にあったモヤモヤが、少しずつ「おかしい」と思えるようになっていた。
子どもの風邪、病院帰りに見た“最悪の光景”
その日はまだ寒い朝だった。
子どもが熱を出していたから、朝から病院に連れていった。
診察が終わり、家に帰ると――そこにいたのは、夫とさやかだった。
私は一瞬、何が起きてるのか分からなかった。
前日、夫はさやかや他のバイトの子たちと遊びに行き、朝帰りだった。
「さやかが家まで送ってくれた!」
そう笑って言った夫。
正直、それ自体はありがたかった。
免停中の夫が朝帰りするってなれば、送ってもらうしかないのはわかってたし。
でも――
さやかの家からうちまでは、車で30分以上かかる。
その距離をわざわざ送ってきたって聞いた瞬間、なんか…モヤっとした。
途中までとか、どこかで下ろしてもよかったはず。
それでも“最後まで送ってくる”って、もうただのバイトの子じゃない。
私の中で、何かがカチッと切り替わった。
「帰ってもらえる?」それだけで、私が悪者にされた
私は普段、夫に怒らない。
ムカついても言わない。言えば面倒になるってわかってるから。
でもその日は、止められなかった。
「悪いけど、帰ってもらってもいい?」
さやかは「はい、帰ります」と静かに言って、そのまま家を出た。
するとすぐ、夫が怒鳴ってきた。
「なんであんな言い方するんだ!家まで送ってくれたのに!意味わからん!」
「電話して謝れよ!さやかが傷ついたらどうするんだ!」
私は言い返した。
「朝から子ども病院連れてって、帰ったらあなたとさやかが家にいるって…おかしくない?」
でも夫の怒りはおさまらなかった。
私が“言い方を間違えた”という一点だけで責められた。
私は、なんとなく「たしかにキツイ言い方をしたかも」と思ってしまって、さやかに電話をかけ、謝った。
あの謝罪は、今も私の後悔になっている
さやかの方が傷ついた?
あの時、守られるべきだったのは私だったのに。
私が怒ったのはおかしいことだった?
謝るべきは、誰だった?
あの電話のあと、心にポッカリ穴が開いたようだった。
自分でも「なんで私が謝ってるの?」って思いながら、ただ虚しくて、悔しくて、でもその気持ちさえも整理できなかった。
今思えば――
ほんとバカだったな、私。
あのとき、自分を守るよりも“夫の顔を立てる”ことを優先してたんだと思う。
今はもう、そんな選択はしないけどね。
ゆるりとやっております。
📷 Instagram → @sarezuma_nene
🐦 X(旧Twitter) →@sarezuma_nene
コメント