狂った夫②ーー妊娠中の私を深夜”女の家”へ

日記

車内の沈黙と夫の緊張

夏の終わり。夜中2時過ぎ、夫と一緒に車に乗り、さやかの家まで片道30分の距離を走る。

助手席で私は黙ったまま、夫の横顔を見ていた。

夫はいつになく緊張していた。

口数は少なく、ハンドルを握る手に力が入ってた。すると夫が

「ここの坂を下ったらさやかの家」

「ふーん」とだけ答えたけど、心の中ではざわざわが止まらなかった。

さやかの家が近づくにつれて、夫の顔がますます険しくなる。

家が見えた瞬間、夫は息を吐いた。

「あーよかった。生きてる」

「なんでそう思うの?」

「……さやか、気持ちが不安定になると、誰にも会いたくないって言ってた。車があるってことは、家にいる。だから、無事なんだと思う」

「そっか。よかったね」

……この人、本気でさやかのことを心配して、ここまで来たんだ。

連れてこられた私は、なんなんだろう。

自分の立場を考えれば考えるほど、虚しさだけが残った。

コンビニのおにぎりと夫の「ありがとう」

さやかの家を通り過ぎたあと、近くのコンビニに車を止めた。

夫がつぶやいた。

「ありがとうね。お腹すいただろ?おにぎりでも買おうか」

私たちは、無言でおにぎりを食べた。

車内の沈黙が、妙に重たかった。

私の頭の中では、疑問と怒りと呆れがぐるぐる回っていた。

どうして私は、夫の“推し”のメンタルケアに深夜付き合わされてるのか。

しかも妊娠中で、家では甥っ子と子どもが寝ているというのに。

明け方、夫の部屋での話し合い

帰宅すると、甥っ子も子どももまだ起きていなかった。

そのことにホッとしつつも、心のどこかで疲れきっていた。

布団に戻れるかと思ったそのとき。

夫が私を自分の部屋に呼んだ。

「少し話そうか」

ああ、そうくるのか。

早く寝たい気持ちを押し殺して、夫の部屋に入った。

眠気と怒りを落ち着かせながら、静かに言った。

「お願いだから、こういうこと二度としないで。あと、さやかの話も、もう聞きたくない」

夫はうなだれた顔で話し始めた。

「ほんとにごめん。…怖かったんだ。さやかがいなくなっちゃうんじゃないかって、すごく不安だった。

でも、もう行かない。絶対に行かない。信じてほしい」

私は怒りと虚しさを感じながらこう言った。

「妊娠してるし、これ以上ストレス抱えたくないの」

夫は「ほんとにごめん」と繰り返し、深く頭を下げた。

その夜は、明け方5時にようやく布団に入った。

心も体も、限界だった。

誰かに話すだけで、心がちょっと軽くなることってあるよね。オンラインだからこそ、気を張らずに話せる場所があるって知ってほしい。

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さやかの話が消えた日々

そして不思議なことに——

その日から、夫は一切、さやかの話をしなくなった。

あの夜を境に、さやかという存在は、夫の口から消えた。

これは2人の関係に私が気づくまで続いた。

ゆるりとやっております。

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