夫の口から出た“お泊まり会”の提案
ある日突然、夫が言った。
「今度、さやかともう1人のバイトの子をうちに泊まらせたいんだけどいい?」
さやか──それは、以前から夫がよく話題に出していた女子大生のこと。
「胸触っていいって言われた」「面白い子でさ〜」と、妙に楽しそうに話していたのが気になっていたけれど、夫のことを信じて、あえて深く聞かなかった。
「さやかは家庭に問題を抱えていて、前から相談に乗ってるんだよ。仕事中は落ち着いて話せないから、ゆっくり話す時間をつくってあげたくてさ。ねねとも会ってもらいたいし、家に呼びたいんだ」
確かに、さやかが親とうまくいっていないという話は聞いたことがあった。自分の気持ちを言えず、リストカットをしてしまうこともあると──。
夫が力になれるなら、応援したい。
そう思って、私は「うん」とうなずいた。
まさか、それが後々まで引きずる“始まり”になるとは思いもしなかった。
家にやってきた女子大生ふたり
2週間後、大学生ふたりがうちに泊まりに来た。
さやかは化粧っ気がなく、どこか影のある印象。
中学生?と見間違えるほど幼く見える子だった。
もうひとりのバイトの子は、少しギャルっぽくて、ファッションに興味がある感じ。だけど礼儀はちゃんとしていて、気さくな子だった。
みんなで子どもと遊んだり、しょうもない話で笑ったり、夜ご飯を囲んだり。
“普通の夜”だった。少なくとも、私はそう思ってた。
「2階の寝室、使っていいよね?」
ご飯のあと、夫が言った。
「3人で話がしたいんだけど、2階の寝室って使っていいかな?2人が寝るところは、俺たちのベッドでいいよね?」
え…私たち夫婦のベッドを使うの?
正直、モヤっとした。
でも「相談に乗るため」と言われたら、それ以上何も言えなかった。
私は子どもと一緒に、1階のリビングで寝た。
明け方までの“話し合い”のあとで
翌朝、彼女たちが起きてきたのは遅かった。
どうやら明け方まで3人で話していたらしく、疲れた様子。
お昼ごはんをみんなで食べて、「そろそろ帰ろうか」と、夫がふたりを車で送っていった。
その日の夕方、夫に聞いてみた。
「さやかの相談、どうだった?」
すると夫は少し困ったように笑って、こう言った。
「なかなか難しいね。さやか、親の前だといい子を演じちゃって、自分の本音を言えないらしい。それがストレスになってるみたい」
ふーん──そうなんだ。
私はそのときまだ、心のどこかで“応援しよう”と思っていた。
けれど、さやかのストレスが“爆発”する日は、そう遠くなかった──
ゆるりとやっております。
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